神奈川 同性パートナー 公立8病院「家族」として容認 3病院で明文化
神奈川県内の公立8病院が、患者の手術への同意手続きなどについて、患者の同性パートナーを配偶者ら家族と同等に認める方針。
川崎市立井田病院は、2月に決定したガイドラインで家族の定義を「内縁関係や同居人も含む」と明記した。
1人暮らし世帯の増加や未婚化など家族の形の変化に伴って病院の対応も変化し、同性パートナーの容認につながっている。
毎日新聞のアンケート調査は今年1月に実施。県立と市立の計20病院のうち16病院から回答が得られた。
同性パートナーを「家族と同等に認める」と回答した8病院のうち、方針を明文化しているのは井田病院と横須賀市立2病院となる。
他に、方針を明文化していないが「家族と申告した人を家族と扱う」などと回答したのが、県立循環器呼吸器病センター(横浜市)、平塚市民病院、横浜市立3病院。
同性パートナーを家族と扱うための条件は、8病院すべてが「パートナーの自己申告があれば認める」と回答。同性パートナーの関係を証明する書類などを不可欠とはしていない。
一方、同性パートナーを家族と認めないと回答したのは、県立がんセンター(横浜市)と大和市立病院。同性パートナーを認めない理由は「法的な根拠がないから」「想定や検討をしたことがないから」。
小田原市立病院と県立足柄上病院(松田町)は「今後の検討課題」と回答し、県立精神医療センター(横浜市)は「措置入院で法律上の家族以外の人に協力してもらうことはある」と回答。
医師や職員が性的少数者について学ぶ研修などの機会について、「ある」としたのは、横浜市立3病院と井田病院、横須賀市立2病院の計6病院。
厚生労働省は2007年、終末期医療に関するガイドラインを作成。「患者が信頼を寄せ、人生の最終段階の患者を支える存在」「法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人を含む」と定義している。
川崎市立井田病院は独自に方針を明文化。医療やケア方針の決定手順を定める中で、家族を幅広く定義した。担当の上釜(うえかま)さつき課長は「これまではトラブルを避けたいと考えて、慣例的に法律上の家族を家族としていたが、方針を明文化することで現場の混乱を防げる」と話している。
[GID info編集部]