ついに文科省が動いた! 性同一性障害で悩む子どもの実態
[記事ソース:] 2013年11月29日
【相談者:30代男性】
最近、性別移行を始めたMtF(体は男性、性自認は女性)です。私が学生のころは、性同一性障害という言葉はなかったのですが、もしあったらどうなっていたんだろう……とたまに思います。そこで質問なのですが、いまの学校の対応ってどうなっているのでしょうか。教えてください
●A.11月21日、文科省が初めて学校対応の調査し始めたようですよ。
ライターの雪見かおるです。ご質問ありがとうございます。
性同一性障害について、最近の学校対応はどうなっているのか、とのご相談ですね。過去の記事『制服やトイレはどうなる? GIDの生徒に対する学校の対応(http://ren-ai.jp/11483)』でも少し触れていますが、自分の性別に違和感がある当事者にとって、学校生活で感じる不具合は多岐に渡っています。
というのも、専門家の調査によれば、当事者の半数以上が小学校入学前から自分の性別に違和感を持ったり、自殺したいと思い詰めたりしていることが判明。体の違和感、そう見られる人の割合を各地で調べたところ、約1000人に1人、多いところで学校に1人いることがわかっているのです。
●性同一性障害を抱える子どもの悩みとは?
岡山大病院ジェンダークリックの中塚幹也教授が、1999~2012年に同クリニック患者1167人を対象に調査したところ、「自分の性に違和感を覚えた時期は中学校卒業まで」の人が90%。FtM(体は女性、性自認は男性)にいたっては、「小学校入学前」の人が70%にも上る、という結果が出たとのこと。
また、それぞれの悩みについても、FtMは「性器に関して」「月経や乳房発育について」などが多く、一方のMtFは「ヒゲが生えるのが嫌」「誰にもわかってもらえない」といった悩みが多く寄せられたそうです。
さらに、これは少し心痛いデータですが……。それらのうち、「自殺しようと考えた人」は59%、「自傷や自殺未遂をしたことがある人」は28%、「不登校になった人」は29%、という結果も合わせて明らかになりました。
特に思春期は、まだ体と心ができあがっていない不安定な時期。性同一性障害という人とは違う悩みを抱えてしまうあまり、つい自分を追い詰めてしまう子どもたちは多いようですね……。
●文科省が初めて性同一性障害についての学校対応を調査!
そんな状況を配慮してか、文部科学省が11月21日に性同一性障害のある生徒に対して、学校側の対応に関する調査を初めて実施することを決めたようです。
具体的な内容としては、各都道府県教員などを通じて児童生徒からの相談状況、全国の公立小中高校を対象に学校側の対応を調査。それらの結果は、専門家との検証により、学校の受け入れ態勢や相談しやすい環境づくりに役立てる、とのこと。
なかなか解決の手立てが難しいデリケートな問題ですが、制服、トイレ、修学旅行など……。性同一性障害を抱える子どもにとって、これらの不具合が少しでも改善していくといいですよね。引き続き、国と学校の対応に注目が集まります。
【参考リンク】
・半数以上が自殺願望 小学校入学前に違和感 | 47NEWS
≫ http://www.47news.jp/feature/medical/2011/01/post-489.html
・性同一性障害への学校対応、文科省が初の調査へ | 読売新聞
≫ http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131121-OYT1T00992.htm?from=ylist(ライタープロフィール)
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雪見かおる(セクシュアリティ専門家)/コラムニスト。トランスジェンダー当事者。某クリニック院長から「体験談を書いてみては?」と勧められたひと言をきっかけに、セクシュアリティについてのコラム執筆を決意。『恋愛jp』では、自身の性別や性的指向について悩む人の気持ちに少しでも触れられたらと思い、当事者なりの意見と体験を交えたLGBTに関する情報を発信している。また、別名義ではライター、作家、シナリオライターとして活動する一面も持つ、異色の覆面コラムニストである。MIRROR: ついに文科省が動いた! 性同一性障害で悩む子どもの実態