性同一性障害…戸籍変更認める特例法施行から10年
[記事ソース:読売新聞] 2014年7月18日
からだの性とこころの性が一致しない性同一性障害について、性別の変更を可能とする特例法が施行されて7月で10年になります。2011年度までに3000人近い人が性別変更を行ったとされます。
戸籍の性別変更をするには、精巣をとったり卵巣をとったりする性別適合手術を受けていることが前提条件となります。ところが国内での医療のサポートは十分とは言えません。
日本では、1996年に埼玉医大の倫理委員会が性別適合手術を正当な医療と認める答申を行ったのに続き、日本精神神経学会が翌年、診断と治療のガイドラインを発表。98年に同大で初めての手術が行われました。
性同一性障害の治療には、精神科による診断、心のケアに加え、ホルモン剤による治療や、本人の希望によって手術が行われます。ただし、ガイドラインは何度か改定が行われていますが、治療が行える医療機関は限られています。ホルモン治療や手術は保険がきかないため費用負担も大きくかかります。
このため、待ち時間が少なく費用も安いタイヘ渡航して手術を受ける人が多くいるとされます。ただし、タイでの手術には安全性に不安な点もあり、トラブルがあった場合のフォローをどうするかという課題もあります。
文部科学省が6月に発表した全国の小中高校生への調査によると、自分の性別に違和感を覚えていると答えた児童生徒は600人以上にのぼると結果が出ました。口に出すことができずに悩んでいる人は、実際にはもっと多いと思われます。
なお、米国精神神経学会が昨年、診断名を「Gender Identity Disorder」から「Gender Dysphoria」に変更したのを受け、日本精神神経学会は今年5月、「性同一性障害」から「性別違和」に呼び名を変更すると発表しました。今後徐々に切り替えが進むとみられます。(田村良彦)
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(2014年7月17日 読売新聞)