LGBTの悩み打ち明けて 生きやすい社会へ高崎で交流会
[記事ソース:東京新聞] 2016年2月23日
性同一性障害などの性的少数者(LGBT)の当事者団体が、高崎市内を拠点に活動を続けている。交流会を月一回開催し、LGBTが生きやすい社会を目指す。団体は「一人で悩まないで」と訴えている。 (大沢令)
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一月二十四日。当事者団体「ハレルワ」が市内で開いた交流会は自己紹介から始まった。本名ではなく、それぞれ呼んでほしいニックネームで会話が進む。
座談会のこの日の最初のテーマは、「LGBTをもっと理解してもらうには?」に決まった。話し合いたいテーマを約二十人の参加者が紙片に書いて箱に入れ、任意で選んだ。「身近にいることを知ってもらう。理解が深まったら共存へと進めばいいのでは」「学校での教育が大切だと思う」。議論は続いた。
「自分らしく生きるには?」。そんなテーマでは「LGBTを隠して生きることは自分らしさなのか」「母親にカミングアウト(告白)したら気まずくなった」など、心の隅にしまい込んでいる悩みを打ち明ける人もいた。
交流会は約二時間に及んだ。初めて参加した大学一年の男性(21)=前橋市=は小学生のころから異性に関心がなかった。自分がゲイと気付いてからも誰にも相談できず、隠したまま悩み続けた。二年前に親に告白し、「後ろめたい思いをしないで生きていこう」と考えたという。
「学校でも早い段階で、支援団体につなぐような配慮をしてもらえたら。性同一性障害の人と一緒に、生きやすい社会にしたい」
身体の性は女性で、男性を自認する大学二年生は学校について「トイレの問題のほかに、性別の点呼などで女として管理され、女として頑張る的なところが嫌だった」と打ち明ける。
団体代表の会社員なおさん(27)=仮名、伊勢崎市=は「結婚して子どもをつくるのが普通という家庭で育った。友人に『気持ち悪い』と言われるのも怖かった」と話す。自分がゲイではないように取り繕うことが苦しかったという。
県内にLGBTの当事者団体がないことを知り、「それなら作ろう」と昨年六月、知り合った仲間とともにツイッターなどで呼び掛け、立ち上げた。なおさんは「性的少数者の存在をもっと知って理解してほしい」と訴える。
ハレルワへの問い合わせは=hareruwa.info@gmail.com=まで。
◆教育現場の対応喫緊
<共愛学園前橋国際大の前田由美子研究員(ジェンダー論)の話> LGBTの子どものいじめや差別、不登校、自殺などを考えると、教育現場の対応は喫緊の課題だ。不登校は学力や将来の就職の問題にもつながり、幼児教育など人生の早い段階からの支援が必要だ。教育だけではなく、就職支援や企業研修などLGBTの理解を広げる取り組みも求められる。
<LGBT> レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、性同一性障害など心と体の性が一致しないトランスジェンダーのそれぞれの頭文字をとった性的少数者の総称。電通ダイバーシティ・ラボが昨年4月、20~59歳の7万人に行った調査で、当事者は7.6%。別の民間団体の調査で「LGBTの7割が学校でいじめや暴行を受けていた」との調査結果もある。