GIDガイドラインに沿った治療〜戸籍変更まで〜
まず最初に、性別を変更するためには、
一 二十歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に子がいないこと。
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
(参考:性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 第三条)
のすべてを満たしていないといけません。
四、五の部分に関しては、性別適合手術を受ける必要があります。
性別適合手術を受けるまで、精神科医の診断書が必要となります。
つまり、最初は、日本精神神経学会の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(PDF)」に沿って治療することとなります。
ここでは、戸籍変更まで流れを分かりやすく解説します。
STEP1:診断書をもらうまで
過去に少しでも引っかかる部分があったり、記事を読んで「もしかして」と思ったら、 ジェンダークリニックもしくは精神科医の受診をオススメします。
ジェンダークリニック・精神科の受診
ガイドラインに沿った治療を受けるためには、まずジェンダークリニック・精神科の診断書が必要となります。
性同一性障害に十分な理解と経験を持つ、ジェンダークリニック・精神科・メンタルクリニックを受診してください。
当サイトでも、GIDの診療をしている病院を紹介しています。
初診の場合、場所によっては1ヶ月~待ちがあることがあります。
精神療法の流れ
予約日に、ジェンダークリニックもしくは精神科に行き、専門医師とのカウンセリングが始まります。
医師とのカウンセリング(自分史などの提出)を経て、今後の生き方、GIDガイドラインに沿ってどこまで治療をしていくかを考えます。
※精神的合併症がある場合、そちらの治療をしてからGIDの治療にあたることになります。
カウンセリング後にホルモン治療を行いたい場合
ホルモン治療・外科手術に移行するために
- 身体的な性別の診断
- 染色体検査
- ホルモン値の測定
を行い検査結果は文書で入手しておきます。
診断書と意見書の作成
- 精神科の医師2名による診断書
- 精神科の医師2名による第二段階へ移行する意見書(診断書と意見書はまとめることも可能)
を作成してもらいます。
※診断書と意見書は、戸籍・性別変更手続きに必要となりますので大切に保管して下さい。
STEP2:ホルモン投与が始まるまで
ホルモン療法
身体的治療を行う医療機関に”診断書”のコピーを提出した上で、ホルモン治療が受けられます。
STEP3:性別適合手術を受けるまで
性別適合手術
性別適合手術(SRS: Sex Reassignment Surgery)に入ります。
STEP4:戸籍変更まで
戸籍変更には、氏名変更と性別変更があります。
どちらも家庭裁判所に申し立てする必要があり、審判後晴れて戸籍が変更されます。
氏名変更手続き
戸籍の名を変更するには,家庭裁判所の許可が必要です。
名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい,単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りない
(参考:名の変更許可一部抜粋)
性別変更と一緒に進めることでより確実に氏名変更が許可されやすくはなると思いますが、元々通称名で何年も過ごした場合などでも許可される場合もあります。
大きな流れとしては、以下のような順番となります。
- 改名を申し立てる
- 家裁で審判官と面談する
- 改名許可を得られる
詳しい資料などは氏名変更のページを参考にしてください。
性別変更手続き
氏名変更と同じく、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所によると
家庭裁判所は,性同一性障害者であって,次の1から6までの要件のいずれにも該当する者について,性別の取扱いの変更の審判をすることができます。
- 二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
- 20歳以上であること
- 現に婚姻をしていないこと
- 現に未成年の子がいないこと
- 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
- 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
(参考:性別の取扱いの変更)
となっています。
大きな流れとしては以下のような順番となります。
- 1.家庭裁判所に申立書提出
- 2.審判の日程を決める
- 家庭裁判所の書記官から電話があります。審問(面接)の日程を決めます。
※審判がない地域もあります。 - 3.審判日
- 審判内容は、診断書に記載されてる内容確認。いくつか確認として質問されます。
- 4.戸籍・性別変更完了
- 地域にもよりますが、一週間ぐらいで特別送達により結果が届きます。
詳しい資料などは性別変更のページを参考にしてください。
STEP5:身の回りの変更手続き
戸籍変更後も、変更手続きが必要なものがたくさんあります。
早めに変更をしてしまって、本来の性と名前で生きていきましょー!