あなたは立ってする派?座ってする派? 激変「男のトイレ事情」

あなたは立ってする派?座ってする派? 激変「男のトイレ事情」

[記事ソース:産経新聞] 2014年10月19日

近頃、男性のトイレ事情に変化があるようだ。トイレでおしっこをするとき、便座に座る男性が増えているという。「汚れるから」「掃除が楽」というのが理由らしいが、立って用を足すことは男の“特権”でもある。立ってするべきか、座ってするべきか-。医学的な観点から「座りション」を推奨する意見もあり、将来の男性のトイレにおけるスタイルの主流は、どちらになるのか?(今仲信博)

 ■「妻に怒られる」「汚すのが申し訳ない」

 実際に、街の人たちはどんな意見を持っているのだろうか。「実家住まいだけど、座ってしている」と語るのは、東京都葛飾区に住む会社員の30代男性。理由は「汚れるから」の一言。「外では小便器があるところでは立つけど、実家や人の家だと汚すのが申し訳なくて座っている」と説明した。

 以前は「立つ派」だったという長野県に住む会社員の20代男性は「独身時代は気にしていなかったが、結婚してからは妻から怒られるので、座ってするようにしている。本当は立ってしたいけど」。

 また、都内に住む会社員の20代男性は「友人の家に行くと『汚れるから座ってしろ』って言われる。やっぱり、掃除が大変だから嫌なのでは」と話した。

 一方、「男だったら立ってするべきだ。座ってするなど許し難い」と語気を強めるのは、宮城県石巻市の住職の60代男性。妻からは座っての用足しを求められているというが、男性は「そんなのは向こうの勝手な言い分だ。男の『座りション』なんて“草食の時代”が生んだもので、絶対立ってし続ける」と強調した。

 また、今年結婚した都内の出版社に勤める「立つ派」の30代男性は、「妻からは『飛び散る』と指摘されるけど、『仕方ないだろう』と言っている。ずっとこのスタイルできて、特にきっかけもないのに今更変える必要もないと思う」と話し、両者ともそれぞれの言い分があるようだ。

 横浜市内に住む会社員の30代男性は「気分によって立ったり座ったりする」と語る。「普段、家では座ってしているけど、妻にいらついたときや酔ったときは男らしく立つ」。ただ、「掃除をするのはおれだから、別に文句は言われない」と付け加えた。

 ■2300の尿滴が…立つのは不衛生?

 女性たちの意見はどうだろうか。「家で立ってするなんて考えられない。座ってするのが当たり前。男どもは何もしないのに、そのぐらいのエチケットがあってもいいのでは」と神奈川県内に住む会社員の40代女性は座り派が増えることを歓迎する。また、東京都足立区に住む会社員の20代女性は「夫には特にお願いはしていないけど、トイレが汚れていないので、座ってやってくれていると思う。きれいに使ってくれればどちらでもいい」と話した。

 とはいえ、立って用を足すことはそんなに不衛生なことなのだろうか。大手家庭用品メーカー「ライオン」が平成23年に行った調査では、男性が1日に7回トイレで立って用を足した際、便器や床、壁に飛び散る尿滴は約2300に上るという結果が出た。ライオンの担当者は「衛生の面からも、トイレの床や壁などをちょこちょこと拭くことが大切」と語る。

 飲食店の中には、酔った男性客に座っての用足しを呼びかけるところも出てきている。東京・新宿の「8bit cafe」では、トイレのドアにイラストとともに「酔った男は座りション!」と注意喚起する張り紙を掲示している。

 知人の漫画家に張り紙を描いてもらったという店長の福田尚久さん(40)は「不衛生だから」と説明するが、「張り紙をした後も、座ってやってくれない人もいる。できるだけしてほしいけど、店の立場からはお客さんにやってくれとは言いづらい。強制もできないから張り紙でうながすことぐらいしかできない」と話した。

 ■20代では座るのが主流?

 大手住宅設備機器メーカー「TOTO」(北九州)が平成21年に発表した「自宅でのトイレに関する調査」では、洋式便器に座って小用をする男性は16年が23・7%だったのに対し、21年は33・4%と増加。「座る派」の主な理由としては、「尿が飛び散らない」「掃除が楽」「姿勢が楽」。一方、「立つ派」の主な理由は「そういうものだと思っているから」「早く済む」「姿勢が楽」となり、両者とも「姿勢が楽」というのが共通していた。

 また、市場調査会社「バルク」(東京)が昨年9月に行った「トイレに関する調査」によると、対象の20~60代男性523人のうち、「立ってすることが多い」と回答した人の割合は全体の53・3%、「座ってすることが多い」と回答したのは30・4%となった。

 ただ、年代が若くなるにつれ「座りション」の割合は高くなり、20代では43・7%が座ってすることが多いと回答し、立つ派(38・8%)を上回る結果となった。

 相模原市内に住む公務員の30代男性は、自身は立った状態での用足しをするものの、5歳の長男は座り派という。「通っている保育園では、男の子もみんな座ってしているようで、立った状態での仕方が分からないみたいだ」と説明する。

 東京都千代田区教育委員会によると、幼稚園や保育園では男女兼用のトイレが多く、トイレ内に小便器はあるものの、「恥ずかしい」などの理由で利用する園児たちは少ないという。男性は「自分の子供は、男らしく立ってすることができるようになるのかな」と不安そうに話した。

 ■血圧の変動も少ない「座りション」

 男らしさをかなぐり捨ててまで、男性が座って用を足すメリットって、トイレを汚さないということ以外に何かあるのだろうか。

 「ズボラでも血圧がみるみる下がる49の方法」の著者で、東京女子医科大准教授の渡辺尚彦さん(61)は、血圧の変動の観点から「座りション」を推奨する。「立った状態は重力の関係で血圧が上がりやすいうえ、立位での排尿には腹圧がかかって血圧が上昇する」と指摘する。

 排尿前後の血圧の変動は大きいといい、実際に渡辺さんが自身の血圧を測定したところ、排尿を我慢した状態での血圧は175だったのに対し、用を足した直後は125まで下がったという。血圧が上がりやすい立った状態で排尿すると急激に血圧が下がり、特に冬場は「排尿失神」を引き起こす危険性もあると渡辺さんは強調する。

 そのうえで、渡辺さんは「すぐに立ち上がったりしなければ、用を足すときは座った状態の方が血圧の変動は少ない。しぶきが飛ぶなどの衛生面も加え、座った状態での排尿がベストだと考える」と話した。

 座る派に押され気味な立つ派の男性たち。立つ派が再び主流になるためには、「立って用を足してもトイレはきれい」という結果を出すことが必要なのかもしれない。

[提供元:産経新聞] [記事全文を表示]